イベント紹介
Event Information
ナフタリンの昇華や、川や海の水に含まれる塩の析出といった、物質の変容を作品の要素として「変わりながらも存在し続ける世界」を表現するアーティスト・宮永愛子の展覧会を開催いたします。
本展は、『宮永愛子 漕法』(青幻舎, 2019年8月)の刊行を記念し、作品集の世界をひもとく展示となっております。『宮永愛子 漕法』は、高松市美術館にて今夏に開催された「宮永愛子:漕法」展の出展作と2011年から2018年までの発表作を収録した、宮永愛子の7年ぶりの作品集です。
NADiff Galleryで開催する「漕法 はじまりの景色」展では、高松市美術館での個展にむけて瀬戸内の地域をめぐった際の記録と、宮永の代表的なシリーズであるナフタリンを素材にした作品を展示します。
会期中には、作品集『宮永愛子 漕法』の装丁とデザインを担当した、ブックデザイナー・名久井直子氏とのトークイベントに加え、『宮永愛子 漕法』の刊行と同時期に初の随筆集『抽斗のなかの海』(中央公論新社, 2019年7月)を上梓し、宮永と親交の深い小説家・朝吹真理子氏とのトークイベントを開催いたします。
作品が生まれ、1冊の作品集が綴じられる前のはじまりの予感と、高松市美術館の展覧会のつづきを本展にてご体感ください。
協力=Mizuma Art Gallery、青幻舎
今年の夏、高松市美術館で個展をひらいた。インスタレーション作品は10にも及び、手がけた中でも一番大きな規模となったこの展覧会のタイトルを、私は「漕法」と題した。漕法とは自分なりの方法で人生を漕ぎだしていこう、と決めた時に出てきた言葉。紡いでいった出会いをあたためると、それがインスタレーションの形となり成立していく。今回も思いがけない出会いをきっかけに、そこから思考がひろがり新作が完成した。 今はもうあの空間の中に立つことはできないけれど、ここで「漕法」のはじまりの景色をそっと思い浮かべてみよう。
宮永愛子