イベント紹介
Event Information

eitoeikoでは石垣克子による2度目の個展「基地のある風景」を開催いたします。沖縄には太平洋戦争後まもない一時期、「ニシムイ」と呼ばれるアトリエ村がありました。ニシムイの画家たちの描いた洋画は戦後沖縄美術の礎となっています。本展では、その約60年後の世界が石垣克子の筆によって描かれています。光あふれる沖縄を舞台に、海を臨む風景や常緑の樹々をとらえた油彩画には、明るい自然のなかに共存する人々が背負ってきた歴史が隠れています。本展では大小15点余りの作品を発表いたします。この機会にぜひご高覧ください。

「基地のない平和な島を」私が小学生の頃からよく見聞きしていたこのフレーズについて、みなさんはどう思われるでしょうか。私は1967年生まれです。生まれた頃、米軍の統治下にあった沖縄は琉球政府であり、沖縄の石垣市で生まれた私は日本人ではありませんでした。沖縄が日本へ復帰したのは1972年です。同年に私は父母妹、生まれたばかりの弟と沖縄本島に移住しました。戦後27年経っていました。そして沖縄本島の那覇で育ち、今日まで生活しています。高校卒業して1年経った頃、沖縄にも県立の芸術大学が創設され、運良く本土に行かなくても地元で美術教育を受けることができました。美術で何ができるかよくはわかりませんでしたが、ただ「美術で生活していくという意思」を元手に、多くの人との出会いと導きにより、これまで創作活動を続けてきました。まずそのことに感謝したいと思います。
 2018年は戦後73年、復帰から46年です。沖縄でも日本全体でもあの戦争を経験した方々よりも戦後生まれが大多数を占めているのは紛れもない事実です。その事を踏まえても「基地のない平和な島を」は沖縄に住む人の切実な願いだったはずです。いろいろな利害関係や理屈抜きで、先人たちが味わった苦労や痛み悲しみをもう2度と繰り返さないためにも、平和な島を取り戻すためにも、戦争に関係するものはいらないと私は思います。
 大学卒業後、私立の中学高校で非常勤講師を務めながら那覇で制作活動をしていた私は、仕事を辞め、2008年から沖縄市のコザの商店街の中に活動拠点を移しました。10年間那覇とコザを行き来するなかで、基地がなくなった地域と未だに基地があり続ける地域では、基地についての認識の温度差があるのではないかと思います。
 那覇では既にいくつかの基地が返還され、新しいまちが形成されています。例えば今回の作品の「ガジャンビラ」という地名のある小禄地域は1986年に全面返還され、現在は公園、学校、住宅やショッピングモール、モノレールの駅があります。学生の頃「天久(あめく)の開放地」と呼ばれていた牧港住宅地区は、1987年に全面返還されましたが、当時は開発を待つ雑草で覆われただ大きな空き地でした。卒業から久しくして、返還された土地には新しい道路が開通し、区画整備がはじまり、次第に建物が立ち並んでいきました。人手が入り工事車輌がうごめく様を喜びと期待感を持ちながら見ていたのですが、その想いを2000年に「広野は蘇える」という作品に込めました。二人の人物が、一人は植物を手にして、広い土地に立って向かいあっている心象風景ともいえる作品でした。今や天久の開放地は「おもろまち」という地名になり、博物館・美術館や学校、公園、商業施やホテルも数多くあります。おもろまちで生まれ育った人にはかつて基地があった事などはすぐにはわからないと思います。初めてその地を訪れる人も然りです。
 沖縄市に車で通う道道には普天間基地のフェンス。また北中城や沖縄市の基地の側も通ります。返還が予定されている基地もあります。返還されて大きなショッピングモールに生まれ変わった地域もあります。返還されて整地を急ぐ土地もあります。基地のある風景を描く事は一刻も早い基地の返還を望みながら、そこにあった事を記憶し伝える為の試みです。基地がどこからどう見えているのか、その背景にはいろいろなエピソードがあります。それらを織り込みながら、現在の沖縄を改めて見つめ直し考えるきっかけになれば幸いです。そして「基地の島沖縄」という代名詞が返上される日を願って、そうではない沖縄の今を描いています。

アーティスト
Artist

eitoeiko

スケジュール
Schedule

2018年3月3日(土) - 2018年3月24日(土)
[開廊時間]
12:00〜19:00

[休廊日]
月・日曜日、祝祭日

開催場所
Place

eitoeiko
東京都新宿区矢来町32−2 東京メトロ東西線神楽坂駅より徒歩5分、都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅より徒歩10分、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅より徒歩12分

その他概要
Outline

[オフィシャルサイト]
http://eitoeiko.com/
石垣克子「基地のある風景」